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- 福島原発事故による放射線の人体影響に関するQ&A
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各地の放射線量が文科省のホームページ(http://www.mext.go.jp/)で公表されていますがこれらは危険な値ではないでしょうか?
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平成23年3月11日に地震を受けた福島原子力発電所は、核分裂反応を緊急に停止させ、原子炉を安定にするための冷却をおこなっていましたが、引き続く津波の影響で冷却装置が破壊されました。そのため、福島原子力発電所では、原子炉内の冷却が行えず、冷却水から燃料管が露出し高温になって一部が破損されました。その際、発生した水素が平成23年3月15日前後に爆発を起こしたことによって、燃料管内に閉じ込められていた核反応生成物(放射性物質)が大気中へ放出され各地に飛散しました。平成23年5月2日には福島原子力発電所の事故原子炉は、まだ完全に安定状態になったとはいえませんでしたが、観測値の推移から、放射性物質の放出は、原発周辺の限られた地域以外、少ない状態に保たれていました。原発事故後毎日全国各地の放射線量と放射性物質降下量は文部科学省のホームページ (http://www. mext.go.jp/)に公表されています。その結果によれば、平成23年4月以降、福島県以外に関東地区の都県で、時々、過去の平常値の変動範囲を僅かに上回る値が観測されたものの、現在では過去の平常値範囲を顕著に上回っているのは福島県のみで、宮城県および茨城県で過去の平常値範囲を僅かに上回っている状況です。福島県福島市では、平成23年3月16日が18マイクロシーベルト毎時、平成23年6月16日が1.1マイクロシーベルト毎時、平成23年9月16日が0.6マイクロシーベルト毎時、そして平成23年11月現在は0.5~0.6マイクロシーベルト毎時で推移しています。この放射線量を1年間被ばくしても総線量は、およそ5ミリシーベルトで、国が緊急時に一般人に適用すると定めた年間20ミリシーベルト以下であり、重篤な健康影響が現れる線量ではありません。 今回の原発事故発生当時には、国(政府)は国民の健康を守るために一刻も早く事故を収束させ、国民の被ばくをできる限り少なくするための防護策をまとめ実施する必要がありました。そのために汚染状況のきめ細かい測定をおこない、現在に至っています。事故を起こした4基の原子炉が100℃以下に冷却され、ほぼ安定な状態が保たれている現状において、速やかに土壌の入れ替え等の除染処理を施し、できる限り元の状態に戻すことが重要です。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月22日改訂 2011年05月12日改訂 2011年12月28日改訂
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今回の福島原発事故の影響で東京より西の地域で人体に影響が出るのでしょうか?
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福島原発の事故に由来する放射線あるいは放射性物質によって、平成23年3月末時点では、東京より西の地域では全く健康影響は表れないと判断されました。東京都では、平成23年3月に観測された線量率が0.16マイクロシーベルト/時間程度でしたので1年間このレベルが続いても年間1,500マイクロシーベルト(=1.5ミリシーベルト)程度で日本各地の自然放射線量と同じ程度でした。大阪府では、さらに低い0.05マイクロシーベルト/時間程度で推移していました。自然放射線レベルは、地域によってかなり変動があり、概ね東日本より西日本の方が高くなっています。今回の原発事故により放出された放射性物質による空間線量の地域差も、現在では自然放射線レベルの変動の幅の中に入る程度で問題ありません。東京より以西が安全ということではなく、今回の原発事故に被災された福島県民の方々の不安に寄り添い、復興へ向けて日本国民全員で努力して、この事態を乗り切ろうではありませんか。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月22日改訂 2011年12月17日改訂
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体内に取り込まれた放射性物質によって人体に影響が出る線量はどのくらいですか?
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10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)程度以下の被ばくでは健康影響の有無は明らかでないとされています。放射性物質は、放射線を出しながら放射性のない物質に変わっていきます。そのときに発生する放射線が体に影響します。放射性物質には、あっという間に放射線を出さなくなる物質と長い間放射線を出し続ける物質があります。最初にあった放射性物質が半分になる時間を物理的半減期といって放射性物質の寿命を表していますが、実際には、体内に取り込まれた放射性物質は、体に備わっている排泄装置によって体外へ排出されます。従って、体内に取り込まれた放射性物質の人体影響の程度は、どれくらいの放射性物質が体内に残存するかで決まります。報道でヨウ素131やセシウム137が問題と説明される理由は、それらの物質が比較的体内に残りやすい性質を持っているからです(Q4の説明を参照下さい)。しかし、今回の事故で観察された放射線量から計算すると、たとえ放射性物質が体内に取り込まれたとしても僅かですから、被ばく量は少なく、重篤な健康被害が現れるレベルの汚染は起こりにくいと判断されます。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月19日改訂 2011年12月28日改訂
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ごく微量でも長期間体内に留まることが不安です。時間が経てば、放射性物質はすべて体外に排出されるのでしょうか?
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今回のような原子力発電所事故の場合、ウラン235が核分裂して様々な元素に分解し、その中に放射性を示す物質が含まれます。多くの物質は、体内にとり込まれても、通常、体外へ排出されますが、なかには体の中の特定の臓器の成分に取り込まれて長期間生体内に残留する放射性物質もあります。そうした放射性物質の代表例に、甲状腺に集積する放射線ヨウ素131や筋肉に滞留するセシウム137、骨に集積するストロンチウム90などがあります。放射性物質は、崩壊して非放射性になっていきますが、最初の量の半分になる時間は、放射性ヨウ素131でおよそ約8日、セシウム137で約30年、ストロンチウム90で約29年です。しかも、こうした物質も糞尿などとして体内から排出されていきます。ヨウ素131の場合は約80日、セシウム137の場合はおよそ100-200日、ストロンチウム90の場合は数年から数十年です。ですからもし放射性物質を体内に取り込んだ場合、次第になくなっていくものとそうでないものとがあります。今回の事故で報告された放射線量から予想される放射性物質の量は、3月22日時点においてでさえ少なかったので、平成23年11月現在に至っては残量放射性物質の影響を心配する段階ではありません。しかしながら福島県内では土壌に付着しているセシウム137による被ばくを出来る限り避ける様な配慮は必要です。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月19日改訂 2011年03月22日改訂 2011年12月28日改訂
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チェルノブイリ事故の時はヨウ素131の甲状腺吸収阻害のために子供や妊婦への安定ヨウ素剤の服用が求めらたようですが、今回は、服用の必要性はありますか?
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安定ヨウ素剤は甲状腺の被ばくを少なくするために用いられますが、かなり高い甲状腺被ばく(10万マイクロシーベルト以上)が見込まれない限り使用するべきではありません。安定ヨウ素剤には副作用があるため一般家庭には配布されませんでした。どのようなタイミングで安定ヨウ素剤を使用するかは、予測される線量に基づいて、専門家が判断することになっています。今回、安定ヨウ素剤が配られた地域においても服用の指示は出ませんでした。
ヨウ素は微量必須元素であり、甲状腺に集まり身体の成長、知能の発達に必要な甲状腺ホルモンの生成に必須です。従って、ヨウ素が欠乏すると甲状腺ホルモンが欠乏状態となります。そのために子供や妊婦には成人よりも必要とされます。そこで、放射性ヨウ素が体内に入る可能性がある時に、予め安定ヨウ素剤を服用して、甲状腺を安定ヨウ素(放射線を出さないヨウ素)で満たしておけば、放射性ヨウ素が体内に入っても吸収されにくくなります。例えば、放射性ヨウ素による甲状腺の被ばく線量が10万マイクロシーベルトと予測される場合、放射性ヨウ素の体内摂取前又は直後に安定ヨウ素剤を服用すると、甲状腺への集積を90%以上抑制できるので、甲状腺の被ばく線量を1万マイクロシーベルト(=10ミリシーベルト)以下にすることができます。
甲状腺の放射線影響としては、甲状腺がんが問題になります。しかし、甲状腺がんの発生確率は被ばく時年齢で異なり、乳幼児の被ばくでは増加しますが、40歳以上では増加しません。そのため、安定ヨウ素剤の服用対象は原則40歳以下とされています。原子力安全委員会・原子力施設等防災専門部会は平成14年4月に「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」を発表し、安定ヨウ素剤予防服用に当たっては、服用対象者を40歳未満とし、全ての対象者に対し、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量を10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)とするとしています。また、市販のうがい薬や消毒薬にヨウ素が含まれることから、これを飲むとよいという誤った情報が流布していましたが、決してそのようなことはしないでください。これらの薬剤に含まれるのはポビドンヨード(1-ビニル-2-ピロリドンの重合物(ポリビニルピロリドン)とヨウ素の複合体)と呼ばれるもので、安定ヨウ素剤として製剤されているヨウ化カリウムやヨウ素酸カリウムとは異なるものであり、効果を期待できないばかりか、そもそも経口薬でなく、外用消毒薬のため、飲み込むと消化管などに対して毒性を発揮する可能性があります。[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月19日改訂 2011年03月22日改訂 2011年12月28日改訂
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福島原発事故後、暫くの間、外出後の衣服のビニール袋管理やシャワー励行などが指導されていましたが、事故後半年以上たった現時点(平成23年11月現在)で、外出時に放射性物質の付着や内部被曝にどこまで気をつけるべきですか?
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平成23年11月現在、警戒区域以外では、観測されている放射能汚染の状況では、通常の外出で放射性物質の衣服への付着や内部被ばくにほとんど注意する必要ありません。理由は、原発からの大量放出は4月以降起きていませんので、警戒区域より外では大気中に飛散する放射性物質はごくわずかとなっており、それらの吸入による内部被ばくはほとんどなく、皮膚に付着することもまずないからです。従って、夏以降、この質問にあるような考慮は基本的に不要となっていますから、帰宅時の手洗い・うがいを励行することで十分です。なお、3月に降下した放射性セシウムは、土壌の表面にある粘土質に吸着されていますので、どうしても気になる場合は、土埃が舞っているようなときに外出する際はマスクをするなどの対策をすれば良いでしょう。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月21日改訂 2011年12月28日改訂
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今後、東北・北関東地域の農産物や海産物を食べ続けて、健康への影響はありますか?
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福島原発での事故が収束に向かう限り問題はありません。特に土壌の放射性セシウムは、粘土質に吸着されて植物に吸い上げられにくくなっているため、農畜産物が汚染されることはまれになってきています。ただし、野生のキノコは、チェルノブイリ事故の時も高いレベルの汚染が長期に亘り検出されましたので注意が必要です。魚介類についても、平成23年11月現在、水揚げ時のサンプル調査が続けられており、その結果で出荷の適否の判断が行われています。従って、市場に流通している農産物・海産物は暫定基準値以下のものです。(ですから、ご自身やご家族が食するかどうかは、そのような測定結果を見て判断するべきです。)なお、福島原発の排水口付近や沖合での海水ならびに海底土中の放射能濃度も定期的に発表されていますので、その推移も参考になります。チェルノブイリ事故のときの我が国の輸入制限は370ベクレル/Kg(放射能単位)でしたが、欧州ではこの10倍のレベルの食品も食されていましたが健康影響は出ませんでした。ただし、そのことが今の安全を保証するものではありません。放射線は、目に見えないものですが、放射線ほど少ない量を敏感に測定することができるものはないといえます。ですから、食品等に汚染の可能性が考えられるときは、その放射線量や放射能を測りさえすれば、人体に影響を与えるような汚染があるかどうかは容易に知ることができます。今後のきめ細かい測定に加えて、私たち自身がその数値を適切に判断できるようになることが大切です。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年12月28日改訂
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どの程度の線量から影響がでるのですか?
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放射線の生体に対する危険度は、原爆被爆者の疫学調査の結果をはじめ、多くの動物実験や生物学的実験で積み重ねられた研究成果から推測されています。積み重ねられた研究成果は、世界保健機関(WHO)の科学委員会、国際連合科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)で定期的に調査され、その結果を総合的に検討して危険度が推測され、放射線の影響が出ない放射線被ばく限度が提案されます。その結果を受けて、放射線の危険を避けるための規則が作られています。現在、一般人の被ばく限度は、年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)ですが、この値には自然の放射線被ばくと、医療で受?ッる放射線被ばくは含まれません。ちなみに日本人が受ける平均自然放射線量は年間1,500マイクロシーベルト(=1.5ミリシーベルト)程度です。また、放射線業務に従事する人では年間2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)という被ばく限度が採用されています。放射線業務に従事する時は、その規定にしたがって、年間の被ばく量をそれ以下にするように厳密に管理されていますが、そのレベルの被ばくで明らかな健康への影響は認められていません。なお、これまでの様々な解析でも、年間10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下の被ばくでは健康影響の有無は明らかでないとされています。
*「年間100ミリシーベルト」について:短時間に大量の被ばくをした原爆被爆者において、100ミリシーベルト以下では「がん」の有意な増加が見られないこと、および、同じ総線量でも線量率が低ければ生体への影響は小さくなるという事実に基づいて、「1年間に100ミリシーベルトの低線量率長期被ばくでも影響の有無は明らかでない」という表現をしています。なお、年間100ミリシーベルトが複数年続く場合については、影響の有無を判断するのに十分な根拠データはありません。ただし、例えばインドのケララ地方の住民調査では、何十年にもわたる被ばくで、積算線量が600ミリシーベルトを超えても、がんの増加が見られなかったという報告もあります(Health Physics 96, 55-66, 2009)。
(追記:平成24年4月23日)[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月22日改訂 2011年03月24日改訂 2011年04月10日改訂 2011年12月28日改訂
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避難地域から移動する場合、どの段階からスクリーニングや制限が必要になるのですか?
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事故直後、避難区域から避難された住民について、福島県内の避難所や保健所では、身体表面に放射性物質が付着していないかどうか、住民の方々の測定が行われました。その結果、3月17日までに測定された約4万2千人全員がガイガーカウンターで毎分10万カウントを下回り、全身をシャワーで洗い流す「全身除染」は必要ないと判定されました (毎分10万カウントというのは、測定器が検出した放射線の本数が、1分間あたり10万本という意味です。) 実際には、毎分10万カウントを多少上回ったとしても、それによってご本人や他の人に健康影響が生じるわけではありません(詳しくは放射線医学総合研究所のページ http://www.nirs.go.jp/information /info.php?i3 をご覧ください)。しかし、無用な被ばくはしないにこしたことはありませんし、また、近くで他の対象者や物を検査する際に余計な放射線が混入する原因になっても困るので、このような基準が設けられているのです。住民の方々に対する放射線測定の実施範囲は、現在、避難区域への一次立ち入りのあとに実施されています。避難対象地域の方は、避難担当者等に測定の必要性をお尋ねください。それ以外の方について、測定は必要ありません。まして、福島近郊に滞在したという理由で、医学検査等を行う意味は全くありません。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月20日改訂 2011年12月28日改訂
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放射性物質は、除染すればすべて問題ないのですか?
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放射性物質は、除染すれば、それ以後は、被ばくの影響はでません。もっとも、汚染されていたときに受けた放射線の影響は現れますので、長期間汚染されたままになっていたことが予想される場合は、医療関係者、自治体の担当者などに相談してください。除染と言う言葉は難しそうに聞こえますが、実際は衣服を着替えてシャワーを浴びるなど通常の入浴と変わりありません。このとき着替えた洋服は洗濯してから着れば問題ありません。洗濯できないときはビニールのゴミ袋などに入れて洗濯できるまで屋外で保管してください。
[掲載日] 2011-03-15
[改訂日] 2011年03月22日改訂 2011年12月28日改訂