日本放射線影響学会憲章
学会基本理念
日本放射線影響学会(本学会)は、放射線の人体、環境への影響とその機構の解明、ならびに利用への貢献を目指した学際的な放射線科学研究を推進する学徒の集う学術団体です。
1954年に米国によるビキニ環礁の水素爆弾実験に起因する放射性降下物により、実験場近海で多くの日本人船員が被ばくしました。これを契機として、放射線の人体影響調査と、放射性物質による環境、食物の汚染調査が行われ、様々な分野の研究者が参加し討議する機会が得られました。この様な場で、知識を共有し放射線に対する理解を深める場が必要であることが研究者の間で話し合われ、1959年に本学会は創設されました。
医療分野をはじめ、今や放射線の利用なくして人類の生活は成り立ちません。一方で、放射線が生物にとって好ましくない影響を及ぼすことも事実です。本学会が世界で唯一の戦争被爆国である日本において設立されたことは、極めて意義深いことです。私たちは、本学会が、我が国における放射線に対する総合的な理解と学理追求の場であるとともに、世界の人達にとっても放射線科学研究ならびに情報発信の拠点であるという自覚を持っています。
本学会は、あまねく放射線についての研究者の心の拠り所であります。本学会は、伝統を誇りとしながら重責を担った学術団体として、学際的な放射線科学研究を通して地球の生態と環境の多様性を保ち、人類が等しく豊かな生活を享受できることを目指し、ここに日本放射線影響学会員行動規範を制定いたします。
会員行動規範
一、 私たち日本放射線影響学会員は、
研究の民主性、自主性、公開原則を基本理念として、進んで学際的な放射線科学研究を行い、議論し、先進的な研究成果を発信します。
一、 私たち日本放射線影響学会員は、
お互いに人権を尊重しながらふれあい積極的に学会活動に参加し、人間性豊かな学会をつくります。
一、 私たち日本放射線影響学会員は、
先人の切り拓いた放射線科学研究の歴史を振り返り、成果をさらに発展させ、これを後世に伝えます。
一、 私たち日本放射線影響学会員は、
日本の科学者としての誇りを持って世界の研究者と交流し、連携を深めます。
一、 私たち日本放射線影響学会員は、
学会員相互の精神的な連帯と独立した学理と真実追求の心を大切にして、公正で豊かな研究生活を目指します。
制定 平成28年3月29日