日本放射線影響学会 / THE JAPANESE RADIATION RESEARCH SOCIETY

理事長挨拶

一般社団法人 日本放射線影響学会 理事長
藤堂 剛

一般社団法人 日本放射線影響学会員の皆さまへ ~理事長所感~

 2016年4月から2年間、理事長を務める事になりました。重責に戸惑いもありますが、放射線影響学会に育てられてきたものとして学会の発展のためにお役に立てることができれば幸甚に存じます。
 1959年に誕生した日本放射線影響学会は、創立57年目にあたる2015年大きな転換期を迎えました。この半世紀余り、放射線影響学会は学会関係者の尽力により順調な発展を続けて参りましたが、昨年4月1日に「一般社団法人日本放射線影響学会」として新たな第1歩を踏み出しました。法人化により、これまで学会が行ってきた学術活動が大きく変わることは有りませんが、これまで以上に社会からの期待に応える姿勢が求められる事になりますし、その一方で教育と研究の自由を保証できる社会環境を育てる責任も忘れてはならないと心をひきしめております。
 本学会は、昭和29年太平洋ビキニ環礁において米国により実施された水爆実験で被災した第五福竜丸事件を契機に設立され、放射線の人体と環境に与える影響を、分野横断的に様々な角度から捉えようと、物理・化学・工学・生物学・医学といった多様な分野の研究者が集まり議論する場を提供して参りました。この様な分野横断的研究者の集まりは、単に放射線の人体・環境影響を評価するのみでなく、その生体影響の根本要因を生物の基本原理に基づき理解する基礎学問としての一面を拡充させました。この様な経緯から、本学会は、応用と基礎との間を繋ぐ学際的領域としてその責務を果たしつつ、発展してまいりました。
 19世紀から20世紀にかけての物理学の爆発的な発展により、人類は放射線を手に入れ、その後様々な分野においてその利用法を開発してきました。様々な計測や原子力発電といった工学的利用、診断・治療といった医療での利用等、現代社会は放射線との関わり無しには成り立たないといっても過言ではない程、社会生活において多面的に放射線が利用されています。一方、放射線の利用は人類への予期せぬ放射線被曝の機会を増加させました。広島・長崎における原爆被曝、本学会設立の契機となったその後の水爆実験に加え、2011年に発生した福島第一原子力発電所事故は、記憶に新しいところです。福島第一原子力発電所事故につきましては、本学会においても多くの会員が研究面に限らず様々な活動を続けております。
 このように、本学会には、学際的な学問としての研究領域の発展と、放射線の多様な影響を、より正確に、より解りやすく、社会に発信していく社会的貢献の両面が強く求められております。本学会の原点であるこれら両面の充実を在任期間中に目指していきたいと考えております。学際領域としては、これまで治療領域また保健物理領域との連携を深める努力が積み重ねられて参りましたが、更に医療診断領域との連携を進めたいと考えております。また、基礎学問としての充実には常に先端領域・最先端技術を視野に入れた研究展開が必須です。本領域特有の問題点を、これらの視野から挑戦していく研究姿勢を、特に若い学会員にアピールしていきたいと考えています。また、社会貢献につきましては、本学会員はこれまで多大な貢献をして参りました。残念ながら、その多くは各学会員個人の努力に負う事が多く、それらの活動において必ずしも本学会のプレゼンスは大きいものではありませんでした。今後は、学会員によるこれらの活動の支援を続けていくことにより学会としての使命を果たしていきたいと考えております
 本学会の理事や様々な委員会の委員の皆様をはじめとして、学会員の全ての皆様に、学会活動へのご協力とご支援をお願いいたします。また、大学、研究機関、研究支援機構、学協会、関連する企業の方々にも様々な形での支援をお願い致します。

平成28年7月6日
理事長 藤堂 剛