日本放射線影響学会 / THE JAPANESE RADIATION RESEARCH SOCIETY

「放射縁影響学会員の皆さまへー理事長所感―」

  • 2015年11月02日
  • 理事長

平素は学会の維持、発展にご支援いただきありがとうございます。学会にとって大きな節目である、法人化を含めて機構改革が始まって半年が経ちました。昨年までの学会の暦年は1月起始12月末日まででしたが、本年からは4月1日起始、翌年3月31日
までとなり、役員の任期は新社員(学術評議員)総会までとなりました。
いよいよ11月から学術評議員選挙を皮切りに役員選挙が施行されます。このような重要な時期に理事長としてご挨拶とお願いを申し上げます。
 5月に平岡大会長のもと開催されたICRR2015は、内容、参加人数ともに今までにない大規模な国際学会となりました。多くの学会員が立ち上げから発表まで協力した賜物と存じます。
 昨年までは影響学会大会が秋に開催されていましたが、今年度は変則的にICRR2015と併催となりました。そのため、若手学会員に発表と学位をまとめる機会を持っていただくために10月、富山大学でワークショップが開催されました。近藤大会長のもと、盛会となりました。
 今後の影響学会の予定ですが、冒頭述べましたように11月に学術評議員の選挙があります。従前とは異なり、被選挙権を有する会員から、自薦・他薦での候補者名簿を作成し、正会員による5名連記の無記名投票を行います。学会の意思決定機関は社員総会である学術評議員会となります。役員である、理事、監事、理事長選挙は今までの選挙法を踏襲しておりますが、長い目で見た今後についてお考えいただきたいことがあります。
 現在の会員数から定款をもとに、来期の学術評議員の定数を30人としました。しかし、理事長選挙まで合計3回の選挙が施行されるため、全体として手間暇がかかります。現制度の利点は、選挙によって学会運営に積極的に関わる意思のある会員のみが選択される事です。しかし、学会の機動性と継続性に問題が生じやすいという側面があります。今後は、今以上に学会運営に寄与、貢献できる人材が恒常的に学術評議員となるような一定の基準を設けて、それを満たすのであれば、一定の任期を設けて理事会、学術評議員会による審議によって選ばれることも考慮する必要があると考えます。
 学会は単に会員の集合体であるばかりでなく、社会からも学会の存在と活動に対して期待と批判があります。そのためには、学会活動が一般にわかるように情報発信を続ける必要があります。科学的、学術的であるためには法人化と、それに伴う倫理
委員会の設置と規定ともいうべき学会憲章の制定が必須であり、それらによって学術団体としての支柱が構築されます。どうか、よりよい憲章の制定についてご協力をお願い申し上げます。
 次に学会の財務体質についてです。現在、年会費は正会員ひとりが1万円となっております。恒常的な収入である会費収入は年間約700万円です。一方、恒常的支出は大会補助200万円、JRR誌発行400万円(為替相場で変動します)、学会事務委託経
費180万円です。HPの維持管理は含まれていません。
 現在、歴代大会長が補助金をほぼ全額返上していること、JRR誌発行補助の科研費が採択されていること、賛助会費が減少傾向ではあれ存在すること、手作りを含めて運営の支出を切り詰めていることで辛うじて毎年約1000万円の繰越が可能となっ
ています。これでおわかりのように、会費収入のみで運営していくと、学会として会員になにもできない状態で5年後には蓄えがほぼ0となります。これを食い止めるために大小を含めて現行で可能なことは、大会長に補助金についてご理解いただく、会員全員が会費を完納し、ウエブ登録によって投票を含めて紙媒体でのやり取りをなくす、JRR誌の紙媒体を辞退する、終身会員候補は終身会費を支払う、60回記念事業の寄付金を募り独立して事業を行う、などです。
 将来的な解決策の候補としては、賛助会員を含めて会員数を増やす、会費を値上げする、JRR誌の発行について抜本的に考え直す、ことです。団塊の世代が退場し、会員数増は望めないため、他の関連学会と協議し、連携を深め、会員、大会運営
など、効率的に共有できることは積極的に行うことも必要かも知れません。
 安定的な学会の運営についての抜本策を十分時間をとって、しかもスピード感を持って議論し、策定し、間髪を入れずに実行するために、次期学術評議員選挙がどれだけ重要であることか、ご理解いただけると存じます。
 現在の執行部は来年5月に開催予定の新学術評議員による社員総会までとなります。それまではできることはやっていくつもりです。どうか学会の発展にとって積極的で建設的な提案があれば、どしどしお寄せ下さい。 HPの1000文字提言を利用されても結構です。


平成27年11月2日
理事長 福本 学