日本放射線影響学会 / THE JAPANESE RADIATION RESEARCH SOCIETY

【6/25締切】「戦略的原子力共同研究プログラム」における新規課題の公募

  • 2015年05月14日
  • 理事長

公募開始について
URL:http://www.jst.go.jp/nuclear/application/h27_sen.html

 文部科学省では、平成27年5月8日(金曜日)から平成27年6月25日(木曜日)17:00まで
の間、平成27年度国家課題対応型研究開発推進事業のうち、
「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 原子力基礎基盤戦略研究プロ
グラム」のうち「戦略的原子力共同研究プログラム」における新規課題の公募を行
います。

1.目的

(1)はじめに

 「国家課題対応型研究開発推進事業」は、科学技術政策の遂行の観点から、国が直
接実施する必要のある研究開発活動について、優れた提案を採択する競争的資金で
あります。この中に「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」も位置づ
けられます。

(2)趣旨

  原子力に関する基礎的・基盤的研究は、原子力を支える技術基盤を高い水準に維
持するとともに、新たな知識や技術を創出し、また、原子力を支える人材育成に資
するなど、我が国における安全確保を前提とした原子力の平和利用を支えてきました。
基礎的・基盤的研究の実施に当たっては、高い研究目標の達成を目指し、研究者の意
思を尊重し実施することが重要ですが、あわせて、国の原子力政策の方向性にも十
分に留意する必要があります。
 これまで文部科学省においては、原子力試験研究費制度によって、原子力政策大綱
に示された原子力の研究開発利用に関する政策の基本方針に則り、各省庁の行政
ニーズを踏まえた基礎的・基盤的研究を推進してきました。その後、これをより開か
れた競争的な制度に改革するとともに、政策ニーズを明確にした戦略的なプログラ
ム・テーマを設定し、重点化を図る観点から、新たな競争的資金制度として「原子力
基礎基盤戦略研究イニシアティブ」を平成20年度に立ち上げ推進してきました。
 平成27年度からは、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の
加速プラン(平成26年6月文部科学省)」等を踏まえ、「英知を結集した原
子力科学技術・人材育成推進事業」を立ち上げ、その中で「原子力基礎基盤戦略研究
プログラム(本事業)」を推進します。本事業により、早急な対応が求められる原
子力分野の課題に正面から向き合い、課題解決に貢献していきます。具体的には、国
内の原子力分野における知見や経験のみならず、様々な分野間の研究者が、従前の
機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携することを通じて、原子力の課題解決に資
する基礎的・基盤的研究活動を推進していきます。

2.公募概要

○戦略的原子力共同研究プログラム

【テーマ1】原子力利用に係る安全性向上のための基礎基盤研究

 一般的な原子力利用に係る安全研究であり、必ずしも発電用原子炉に関するものに
限らず、研究炉やバックエンドに関するものも含めて原子力利用に係る安全性向上
に資するもの。特に海外で拡大する原子力利用の諸局面において、我が国が安全性向
上技術の優位性を獲得し、世界の原子力利用の安全をけん引するような斬新な技術
開発に資するための研究、例えば、更なる安全性向上のための安全評価・実装技術、
先進的な計装・制御システムの研究開発、抜本的な安全性向上のための新素材を用
いた被覆管等の研究開発、事故耐久性の高い先進燃料の研究開発、安全上重要な機器
の経年劣化メカニズムの解明、及び過酷事故回避関連技術の高度化等に係る基礎
的・基盤的研究を推進する。

【テーマ2】高温ガス炉に係る基礎基盤研究

 水素製造を含めた多様な産業利用が見込まれ、固有の安全性を有する高温ガス炉は、
原子力利用の多様化への貢献が期待されているところであり、将来の実用化を見
据えた要素技術の研究開発を着実に進めていくことが重要である。そのため、高温ガ
ス炉固有の技術、熱利用技術の高度化に関する研究開発や高温ガス炉の安全性向上
に資する技術等に係る基礎的・基盤的研究を推進する。

【テーマ3】放射線影響・低減に係る基礎基盤研究

 東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により生じた放射性物質による被ばく線
量の低減や汚染に対する不安の解消等に資する研究を着実に進めていくことは、
原子力利用を進めていく上で、重要な課題である。今回の事故を通じて得られた教訓
を生かしながら、合理的な防護基準策定のための小児をはじめとした放射線感受性
の定量的評価に関する研究や、低線量・低線量率長期被ばくの影響解明に向けた研
究(内部被ばくに関する研究を含む)、放射線リスク低減化等に向けた研究等を推進
する。
 なお、除染に係る実証技術開発については募集対象外とする。

【テーマ4】原子力におけるリスクコミュニケーション等に関する研究

 東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故に伴って放出された放射性物質による健
康や環境への影響についての国民の関心が高まる中、原子力の潜在的リスクの評
価やそのマネジメントの在り方、事故が発生した場合の対応等に関して様々な社会的
課題が顕在化してきており、国民をはじめとするステークホルダーとの相互理解の
在り方等を踏まえた課題の解決に資する研究を推進する。

【テーマ5】原子力の技術革新につながる基礎基盤研究

 原子力利用の今後の在り方を考えていく上では、エネルギー源としての原子力のみ
ならず様々な社会的・国際的課題の解決に資する技術革新につながる研究を行うこ
とは重要である。そのため、これまでの既存概念の枠にとらわれない原子力利用の新
たなシステムに関する要素技術等、強いインパクトを持った原子力に関する新たな
知見の獲得や研究開発シーズを創出するための基礎的・基盤的研究を推進する。

○研究期間: 3年以内
○採択予定件数及び研究に要する経費